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    日経225先物ミニとは?/初心者のための解説

    先物取引でありながら、より少額な資金で大口取引の醍醐味を味わえることで、個人投資家に人気が高いのが、日経225先物ミニ(mini)です。

    興味がありながら、まだ手をつけられていない、という個人投資家も多いのではないでしょうか。ここでは、日経225先物miniの概要と特徴、そして始めるにあたって気をつけなければならないことを、初心者向けに「ひとくちで」解説します。

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    日経225先物ミニとは

    日経225先物ミニとは、大まかに

    1. 将来の特定の日に
    2. 日経平均株価の100倍を
    3. 現時点で決めた約定値段で売買する、と約束する

    という取引を行う、金融商品のことです。

    この説明だけ見ると、売買の「予約」をしているだけのように見えますが、その実、先物miniはたいへん奥深いものです。

    特徴的なのは、大きな金額を少ない資金でやりとりできること(レバレッジ)、出し入れする資金が売買の差額のみになること(差金決済)そしてハイリスク・ハイリターンであることです。

    取引単位は日経平均×100で「1枚」

    取引単位は、1単位(日経平均株価×100)を「1枚」と数えます。最低取引単位は1枚からになります。

    レバレッジがきく – 少ない資金で大口取引

    例えば日経平均株価が2万3000円だとしたら、1枚は(×100で)230万円となります。現物取引ならそのまま230万円用意しなければ買えませんが、先物ミニなら、証拠金と呼ばれる担保金を預ければ、取引できてしまいます。証拠金は、2018年1月現在で6万3000円と、現物取引の場合(230万円)よりもはるかに少額です。

    取引によって利益が出たら、そこで利益確定すると、証拠金が戻り、さらに差益も手に入ります。たとえば230万買って240万で売れば、証拠金はそのまま戻ってきて、10万の差益が手に入ります。(手数料が38円かかっているから、厳密には9万9962円)

    このように、少ない資金で、もっと大きな金額の取引を行うことを、「レバレッジをきかす」といいます。(レバレッジとは、英語で「テコ」のこと)

    レバレッジの効果により、手元資金が多くなくても大きな利益を狙えます。ただし、損失が出たときも規模は大きくなります。このハイリスク・ハイリターンな点が、先物や先物miniの最大の特徴です。

    なお、このように、証拠金を入れるほかには売買差額だけが自分に出入りする、という取引を、差金決済取引といいます。

    取引手数料が少ない

    日経225先物miniについて、もう一つ注目したいのが、取引手数料がリーズナブルな点です。

    日経平均株価に投資する場合、現物株式(日経平均連動ETFなど)を購入する場合は、数百円からの手数料が必要になります。取引金額が大きくなると、この手数料も大きくなります。

    一方、日経225先物miniなら、取引手数料は1枚あたり数十円で済みます。例えばSBI証券なら、1枚あたり27円(2018年1月現在)からの手数料で取引できます。

    カラ売りができる

    日経225先物miniを含む先物取り引きでは、現物ではできない「売りからの取引」も可能です。

    たとえば「これから株価が下がりそうだな」というときに、まず日経225先物miniを売り、株価がもっと安くなった時に買い戻すのです。たとえば、230万で売ったものを、220万で買い戻すのです。すると、差額の10万円が利益として残ります。

    「なぜ、所有していないものを、いきなり売れるの?」と思うでしょう。これは実は、一時的に借りてきた商品を「あとで必ず返すから!」と約束して売り、あとで買い戻して返す、という取引なのです。手元にない商品を売っていることから「カラ売り」と呼ぶこともあります。

    日経225先物miniは、こうして売りから入ることにより、下落相場で利益を出すこともできます。これは、miniに限らず、先物取引に共通する特徴です。

    miniと通常の日経225先物の違い

    日経225先物miniは、普通の「日経225先物」から派生した商品と言えます。

    日経225先物のほうは、miniよりもずっと早く、1988年に登場していました。こちらはレバレッジ幅がより大きく、日経平均株価の1000倍の金額が最低単位(1枚)となっていました。

    動かす資金が巨大になることから、こちらは主に大口機関投資家やヘッジファンドが主体で、一般的な個人投資家にはしきいの高いものでした。

    そのため、一般投資家にも参入しやすいよう、レバレッジ幅を100倍まで抑えた商品が、日経225先物miniです。miniのほうは、2006年に大阪取引所で上場開始しています。

    つまり、日経225先物の取引規模を小さくしたから「mini」なのです。miniと普通の日経225先物を区別するため、miniを「スモール」、普通の225先物を「ラージ」と呼ぶこともあります。

    日経225先物miniと「くりっく株365」

    似たものとして、くりっく株365というものがあります。先物miniについて知るうえで、こちらについても知識を入れておいてもよいでしょう。

    くりっく株365は、取引の最低単位は日経平均の100倍とminiと同じ額ですが、こちらは限月(SQ月)がなく、長期保有も可能なところが、miniと異なる点です。

    また、くりっく株365には、24時間いつでも取引ができるというメリットもあります。日経平均先物のほうは朝9時から夜11時半までが取引時間になりますが、くりっく株365なら、米国市場の動向を見つつ深夜に取引を行う、といったことも可能です。

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    先物miniのデメリット – 損失は天井知らず?

    少ない手元資金でも大口取引ができ、下落相場でも利益を期待できる・・・というと良いことずくめに見えますが、先物miniには特有の高いリスクがあります。

    まず何より、×100倍という高いレバレッジ効果によって、動く金額がきわめて大きくなることが、第一のリスクです。日経平均株価が100円下がるだけで、先物miniでは、1枚あたりその100倍の1万円の含み損が出ることになります。

    ラージ(普通の日経225先物、レバレッジ1000倍)と比較するとスケールは一桁落ちますが、それでも大口取引であることには違いありません。

    また、含み損がふくらむと、証拠金の追加を請求されます。これは「追証」(おいしょう)と呼ばれます。現在の多くの証券会社では、損失が少しでも出たら追証が必要になり、追証を入れない場合は、強制的に代わりの保有証券(担保株)を売り払われたり、信用取引口座を閉鎖されたうえで追加手数料が請求されたりします。

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    SQ算出日と決裁

    日経225先物miniを取引するときには、SQ算出日(決済期限)、そして売買の決裁について理解する必要があります。

    SQ算出日とSQ値を理解しよう

    例えば、買いで入った日経225先物miniは、一定の期限日を迎えたら、必ず反対売買、つまり売らなければなりません。

    この期限日を「SQ算出日」もしくは「決済期限」と呼びます。

    SQ算出日は、自分が選んだ日経225先物miniの「限月」によって決まります。限月とは、先物取引の反対売買をする期限となる月、取引の満期となる月のことです。限月のSQ算出日には、商品は強制的に反対売買され、精算されることになります。

    この際の売買価格は、その日の日経平均株価の始値とほぼ同じ価格となります。これを「SQ値」と呼びます。SQとは「Special Quotation」(特別精算指数)の略称です。強制精算の際に適用される値、といった意味合いです。

    メジャーSQとマイナーSQ

    日経225先物miniは、毎月の第二金曜日にSQ算出日を迎えます。この日に強制決裁が行われるため、(任意で)取引できる最終日は、SQ算出日の前日となります。

    日経225先物mini(スモール)には毎月SQ算出日がありますが、日経225先物(ラージ)のSQ算出日は、3, 6, 9, 12月の4つの月しかありません。そのため、3, 6, 9, 12月に算出されるSQ値は「メジャーSQ」、その他の8つの月のSQ値は「マイナーSQ」と呼ばれて区別されます。

    ラージの取引の影響で、メジャーSQのある限月は、スモールしかないマイナーSQ限月よりも、日経平均株価の動きが大きくなることがあります。

    SQ算出日と日経225先物miniの決裁

    日経225先物miniは、SQ算出日を迎えると、そのとき決まったSQ値で、強制的に売買されることになります。

    しかし、SQ算出日より前に、任意で反対売買して決裁することも可能です。この際は、通常の現物銘柄のように、任意の市場価格で売買することができます。

    SQ算出日前に決裁を済ませてしまえば、その後にSQ値がどのようになっても、関係がなくなります。

    SQ日前に日経平均と乖離することも

    日経225先物miniは基本的に、価格が常に日経平均株価に近づこうとする、指数連動商品と言えます。しかし、市場の売買によって、SQ算出日を迎えるまでに価格が変動しており、この際に日経平均株価と価格が乖離することがあります。

    例えば、「おそらく、次のSQ算出日までに、日経平均株価は上昇するだろう」と思う投資家が多ければ、該当の限月にSQ算出日を迎える日経225先物miniの価格は、上昇します。安いうちに買って、限月を迎えて高くなった頃には売ろう、との思惑で、買い優勢になるからです。

    こうなると、日経平均株価より、日経225先物miniの方が価格が高くなることがあります。

    といっても、この乖離は、各限月のSQ算出日を迎えるたびに精算され、先物側の価格が、日経平均株価に同期されることになります。

    その後、また先物価格が思惑に沿って動き、日経平均株価との価格乖離が生まれ、限月に精算されると先物価格が日経平均株価に同期し・・・を繰り返すことになります。

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    裁定取引 – 先物売り・現物買いでリスクヘッジ

    先物miniと日経平均株価が乖離した状況を利用して、損失リスクをヘッジする(損をしないようにする)方法があります。それを裁定取引といいます。

    株価の乖離と裁定取引

    例えば、日経平均株価が2万3000円のときに、「来月の日経平均は上がるだろう」と見る投資家が多く、先物miniが2万4000円で+1000円高値だったとします。

    このとき、先物miniを単価2万4000円でカラ売りしておきます。また同時に、日経平均を構成する現物株をまとめて平均単価2万3000円で買っておきます。これで裁定取引の準備が完了です。

    そして限月のSQ算出日を迎え、先物miniも日経平均株価も2万5000円に上がっていたとしましょう。この時、先物miniは1000円高値で買うことになるので-1000円の損失ですが、現物株は2000円高値で売ることになるので、+2000円となり、合計+1000円の利益が出ます。

    一方、SQ算出日に日経平均株価が2万3000円に下がっていたとします。すると、2万4000円でカラ売りしていた先物は+1000円の利益が出ます。現物株の方は2万3000円で買ったものを同額で売ることになるので利益も損失も出ません。となると、こちらも合計+1000円の利益となります。

    このように、先物miniと現物株の価格の乖離を利用して、相場が上がって下がっても利益を出す(損失をヘッジする)方法が、裁定取引です。

    ヘッジファンドらの独壇場?

    先物商品における裁定取引は、実際には手数料や配当、金利といった要素もからんでくるのでここまで単純ではありません。そのため、多くのケースでは、ヘッジファンドや機関投資家、資金の潤沢な大口投資家の独壇場となっています。

    しかし最近では、比較的小さな資金で取引できる日経225先物miniの登場のおかげで、日経平均と連動性の高い割安株だけを用いれば、個人投資家でも行うことができる、とも言われています。

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    リスクを認識してリターンを狙う

    日経225先物miniは、ラージ(通常の日経225先物)より少額の費用で始められることから、わたしたち個人投資家でも先物取引の醍醐味を味わえる取引です。

    miniが登場したことにより、先物取引はプロ投資家の独壇場ではなくなり、個人投資家にも参入しやすいものとなりました。

    日経225先物miniは、上昇相場だけでなく下落相場でも利益を期待できること、また裁定取引でリスクヘッジを行えることなど、その気になれば様々な活用法もできます。

    ただ、なまじレバレッジがきくことで、巨大な金額を動かしているという感覚が麻痺してしまい、「気づいたらとんでもない額の損失を抱えてしまっていた・・・」ということにもなりかねないのが、日経225先物miniの怖いところでもあります。

    たとえ資金に十分な余裕があったとしても、安易に日経225先物miniに手を出すのは避けて下さい。

    逆に、しっかりリスクを認識したうえで取引を行えば、日経225先物miniは大きなリターンを期待できる魅力をはらんでいます。

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